Restless

Restless

 

ウエイトレスではない。

レストレスである。

ボブジェームス名義のリーダー作では最高峰と思う。

まさに、大人の音楽。

このジャンルは一般的には”フュージョン”と言うことになってるが、フュージョンと言っても”ジャズフュージョンである。

ところが、これを”アダルトコンテンポラリー”と分類もされる。

英語はよく分からん!

だが、このアダルトと言う言葉はふさわしい。

この、ジャズのリズムが心地よい。

いわゆるポップやロックは通常、リズムは平面的に進行していく、しかしジャズのリズムは”ズレ”テイルのである。いわゆるシンコペーションの類いである。

小生、音楽など全く聞かなかった頃、親戚が持っていたので「これいいよ」と借りてきた。
すぐに買いに走ったのは言うまでも無い。

有楽町のHMVである。

今はもう無い。

本当に思い出のCDである。

自分が音楽ファンとして、目覚めたのはひとえにこの作のおかげと言って良い。

紛う方無き自分自身の音楽記念碑である。

とにかく、気持ちいい。

いつまでも聴いていられる。

何回リピートてもずっと聴いていたい。

そして、仕事中も一日中頭の中で鳴っていた。

こんな経験は後にも先にもない。

ジャズのリズムは気持ちが良いと言うこと。

そして言わずもがなカッコイイと言うこと。

ジャズを少し聴き始めたのもこの作品の影響である。

サウンドの形態はほとんどポップミュージックであるが、リズムが違う。

イチ、ニイ、サン、シイ。イチ、ニイ、サン、シイ。の繰り返しのリズムでないということが、これほど気持ちいいものなのか。

スカタカター。スカタカターなのである。

シャッフルビートとも言うらしい。

このアルバム、誰に進めてもみんな「ハマった」ということになっていくのである。

万人受けする類である。

でも、本物のジャズオタクや、ロックしか聴かないとか言っている人たちには無理。

こだわりが強すぎて、プライドが邪魔して聴けない。

これを、可哀そうと言う。

ボブジェームスは、何枚も持っているが、似たトーンの作品は一枚もない。

強いて言えばフォープレイの”ビトゥインザシーツ”くらいか。

とにかく、記念碑である。

ダーク・スカイ・アイランド

ダーク・スカイ・アイランド

 

お待ちかね、7年ぶりのエンヤのニューアルバム。
いやあ、ずいぶん長い間新作が出てなかったなあ。

前作がクリスマスアルバムだったから、オリジナルアルバムって言うことで考えると、10年ぶりでごぜいやす。

その前が、ア・デイ・ウィズアウト・レイン。
これがさらに5年前ときた。

いやあこの方、ホントに寡作の人ですね。

でも、それがほとんど気にならない。

やっぱり本物の音楽家であるからと言えよう。

処女作ウォターマークから、シェパードムーン、メモリーオブトゥリー、ここまでのラインはエンヤの黄金のラインである。

この三作のみでもエンヤのキャリアは申し分なく完璧である。

まさに夢の音楽世界を地球上に確立させたと言って良いだろう。

しかし、ここまでである程度本気を出し尽くしてしまったという事だろうと思う。

この5年後にア・デイ・ウィズアウト・レインを発表するまでにかなり悩んだのではないかと思う。
次の新作までの最長期間であったからそうとも思えるが、実は本当はもっとゆっくりしたかったのではないか。

とにかく、出せば売れるのでレコード会社も「出せ出せ」とプレッシャーをかけてきたに違いない。

そのせいか明らかに作風がここから変わった。

悪く言うつもりはないが、軽くなった。ポップになったというか・・・

どうもエンヤのサウンドにはそれまで、ある種の荘厳さの様な物が支配していたが、ア・デイ・ウィズアウト・レインからはやはりポップな感じに変化したと言えるだろう。

雪と氷の旋律でギターソロが登場したのには本当に驚いた。

正直、凄い違和感があった。

それ以来の新作、今回のダーク・スカイ・アイランドはエンヤのポップサウンド化が更に進行しているのではないかと危惧していたが、杞憂であった。

“エンヤが帰ってきた”

そう言える出来である。

全編、抑制されたサウンドで、一貫して荘厳さが支配している。

ウォターマークと聴き紛うほど、サウンドも回帰している。
恐らくローランドのシンセD-50のサウンドだと思うが、多用されている。
25年前に戻ったような錯覚も覚える。

嬉しい。

今回は、じっくりと想像力を膨らませて納得いく作品作りが出来たのだろうと感じる。

次にはもう、期待しない。

もうこれでキャリアを閉じてもらってもエンヤファンはやっていけると思う。

次回作は、今までのパターンのようにまた気分転換にポップにやってもらっても良いと思う。

そのうちまた、本当のエンヤも帰ってくると思うから。