ダーク・スカイ・アイランド
お待ちかね、7年ぶりのエンヤのニューアルバム。
いやあ、ずいぶん長い間新作が出てなかったなあ。
前作がクリスマスアルバムだったから、オリジナルアルバムって言うことで考えると、10年ぶりでごぜいやす。
その前が、ア・デイ・ウィズアウト・レイン。
これがさらに5年前ときた。
いやあこの方、ホントに寡作の人ですね。
でも、それがほとんど気にならない。
やっぱり本物の音楽家であるからと言えよう。
処女作ウォターマークから、シェパードムーン、メモリーオブトゥリー、ここまでのラインはエンヤの黄金のラインである。
この三作のみでもエンヤのキャリアは申し分なく完璧である。
まさに夢の音楽世界を地球上に確立させたと言って良いだろう。
しかし、ここまでである程度本気を出し尽くしてしまったという事だろうと思う。
この5年後にア・デイ・ウィズアウト・レインを発表するまでにかなり悩んだのではないかと思う。
次の新作までの最長期間であったからそうとも思えるが、実は本当はもっとゆっくりしたかったのではないか。
とにかく、出せば売れるのでレコード会社も「出せ出せ」とプレッシャーをかけてきたに違いない。
そのせいか明らかに作風がここから変わった。
悪く言うつもりはないが、軽くなった。ポップになったというか・・・
どうもエンヤのサウンドにはそれまで、ある種の荘厳さの様な物が支配していたが、ア・デイ・ウィズアウト・レインからはやはりポップな感じに変化したと言えるだろう。
雪と氷の旋律でギターソロが登場したのには本当に驚いた。
正直、凄い違和感があった。
それ以来の新作、今回のダーク・スカイ・アイランドはエンヤのポップサウンド化が更に進行しているのではないかと危惧していたが、杞憂であった。
“エンヤが帰ってきた”
そう言える出来である。
全編、抑制されたサウンドで、一貫して荘厳さが支配している。
ウォターマークと聴き紛うほど、サウンドも回帰している。
恐らくローランドのシンセD-50のサウンドだと思うが、多用されている。
25年前に戻ったような錯覚も覚える。
嬉しい。
今回は、じっくりと想像力を膨らませて納得いく作品作りが出来たのだろうと感じる。
次にはもう、期待しない。
もうこれでキャリアを閉じてもらってもエンヤファンはやっていけると思う。
次回作は、今までのパターンのようにまた気分転換にポップにやってもらっても良いと思う。
そのうちまた、本当のエンヤも帰ってくると思うから。